リアイム

アウトプット&知識の共有

真空崩壊 宇宙の破滅とは

 

 

今回の記事では宇宙の終わりともいえる「真空崩壊」についてご紹介しています。

少し難しいですが、面白い内容なので読んでいただけると嬉しいです。

 

f:id:a1t2s2u2:20200315173455j:image

 

『いつの日か 銀河や星々、そして原子一つ一つにいたるまで

 宇宙のあらゆる構造が崩壊してしまうかもしれない』

 

こんな仮説が、物理学者の間で、話題になっています。今回はそんな、真空崩壊の謎について迫ります。

 

では、真空とは、なんでしょうか?

真空をそのまま解釈すると、真にからっぽと言えますね。真空パックや魔法瓶の真空を思い浮かべる方もいるかも知れません。

 

しかし、普段よんでいる真空とは、空気が薄い空間のことでなのです。

 

 

では仮に、密閉した容器から、空気や細かなちりなどの物質をすべて取り除くことができたなら、 その空間は、 完全な真空といえるでしょうか?

実は. 物理学の世界では、 気体分子やちりなどの微細な物質を完全に取りのぞいただけでは. まだほんとうの意味での真空とはいえません。

 

たとえば. 空間 には, 光 (T 電磁波」という波であると同時に, 「光子という粒子でもあることがわかっている)がさしこんでいます。

 

 

つまり, 気体などの物質を取り除いても, 光子などの "物質ではない粒子"が空間に残ってしまうのです。

 

 ほんとうの真空とは, 気体分子などの物質はもちろ ん, 光子などを含めた, ありとあらゆる "粒子"が完全に取り除かれた空間 の状態のことだそうです。

 

ただし, ありとあらゆる粒子を取り除き. ほんとうの真空が実現できたとしても、 空間には何らかのエネルギー が残ると考えられています。

 

これ以上取り除くことのできない, 空間に残されたエネルギーのことを「真空のエネルギー」といいます。

 

真空のエネルギーとは、 空間で実現しうる, 最も低い状態 のエネルギーだといえます。

 

実は、「真空崩壊」 という現象は、この真空のエネルギーが大きくかかわっているのです。

 

たとえば, みなさんもご存知の水は温度によって, 水蒸気や氷に変化します。

 

 

このように, 物質の状態が変化する現象のことを「相転移」といいます。

 

実は, 真空の状態も,この水の相転移のように, まったく別の姿に変化してしまう可能性があります。

 

これを 「真空の相転移」なのです!

 

 

この世界では, あらゆる物質はエネルギーの最も低い状態を好む傾向があります。

 

水が氷になるのも, 0C 以下では、 水分子どうしが規則的につながって氷になる方が、エネルギーが低いためです。

 

実は真空も、水と同じように、よりエネルギーの低い状態に相転移することがあると考えられています。

 

 

2012年、 スイスジュネーブ郊外にある世界最大の素子実験施設 「LHC」 で「ヒッグス粒子」が発見さ れました。

 

 

f:id:a1t2s2u2:20200315173745j:image

 

 

 

ヒッグス粒子は, さまざまな素粒子の質量にかかわる素粒子だということがよく知られていますが, それと 同時に「真空」にも大きく影響 をおよぼします。

観測されたヒッグス子の質量は、 約 126GeV (eV はエネルギーやの質量の単位。 1GeV は leV の10億倍)。

 

この値は、実験前には、様々な予測がされていました。

 

ヒッグス粒子の発見以降, 観測値と予想値の相違点が整理されました。

 

その結果をもとに, 真空のエネルギーを計算すると、 現在の真空が、あらゆる状態の中で最もエネルギ ーが低い真空ではな可能性がでてきたのです。

 

つまり、 現在の真空はいわば"偽の真空"であり, さらにエネルギー の低い、真の真空が存在するかもしれません。

 

これは、水が氷に変化するように、真空の状態がよりエネルギーの低い真の真空へと変化してしまう可能性があることを意味します。

 

このような真空の状態変化が、「真空崩壊」なのです。

 

二つの真空の間にあるエネルギーの山が十分に高いなら, たとえ"真の真空"の状態が存在していたとしても, 真空崩壊が起きることはなさそうです。

 

しかし、量子力学のトンネル効果によって, エネルギーの山を直接こえられなくても、 真空崩壊が起きてしまう可能性があります。

 

トンネル効果によって宇宙のある場所で真空崩ががおきると、 そこを中心に"真の真空の泡"が生じるます。

 

f:id:a1t2s2u2:20200315173553j:image

 

 

 

この真の真空の泡が加速しながら膨張し、 最終的にはほぼ光速で広がって行くと考えられています。

 

もし、宇宙のどこかで真空崩壊が発生した場合. 私たちにはどのような現象を観測できるのでしょうか?  

 

正直な話. 真空崩壊した領域がどのような物理法則にしたがうのか, 現段階では予想がつかないそうです。少なくとも、 今の宇宙とはまったくことなる物理法則にしたがった世 界になることはまちがいないそうです。

 

物理法則がことなるのであれば. そもそも私たちは真空崩壊し た領域を観測することさえできないかもしれません。

 

ただし、真空崩壊した領域と、 真空崩壊していない領域の境界は 非常に 高いエネルギーをもっていると考えられています。

 

宇宙空間に存在するガスやちりなどの細かい粒子が、高いエネルギーをもった壁にはじかれて、真空崩壊した領域との境界が光ってみえる可能性もあります。

 

宇宙を見渡したとき、ほぼ光速で拡大しているえたいの知れない光輝く領域があれば、もしかしたら真の真空がせまっている予兆なのかもしれないのです。

 

トンネル効果によって 真の真空の泡が生しても, 場合によっては膨張せずに、すぐに消滅してしまうことも考えられています。

 

真空崩壊は、真空の状態が現在よりもエネルギーの低い状態に変化する現象です。

 

 

f:id:a1t2s2u2:20200315173812j:image

 

 

ただし、真空崩壊した領域は 確かにエネルキーが低いですが、 ことなる真空との境界は非常に高いエネ ルギーをもってしまいます。

 

そのため、はじめにトンネル効果によって真空崩壊した領域が小さすぎると、真空崩壊によるエネルギーの低下より、真空の境界が生じることによるエネルギー の増加の方が大きくなってしまうことがあります。

 

 

この場合、 真空崩壊した領域を保つよりも、 もとの真空にもどった方が, 全体としてはエネルギーが得になるので、真の真空の泡が消滅してしまいます。

 

真空崩壊が発生して拡大していくには、あくまで予測ですが、陽子よりも10桁程度小さい真空崩壊の泡が発生する必要があると考え られています。

 

陽子の半径は、

 1ミリメートルの1兆分の1程度にすぎません

 

 

そのさらに10桁も小さな真の真空の泡がトンネル効果によって 生じ、宇宙を飲みこんでしまう可能性はどれくらいあるのでしょうか。

 

素粒子物理学の基本的な理論(標準理論)をもと計算すると、人間が観測できる範囲の宇宙で真空崩壊が発生し、その後宇宙が飲みこまれてしまう確率は、10の554乗億年に1度程度だと言います。

 

もちろん, 大きい誤差もありますが、現在の宇宙の年齢が約138億年であることを考えると、この宇宙がすぐに"真の真空の泡"に飲みこまれてしまうことはなさそうです。

 

 

逆に考えると、 陽子よりも小さなサイズの真空崩壊が何度も発生と消滅をくりかえしていたとしても, おかしくはないのかもしれません。

 

しかしながら、標準理論は, 宇宙でおき得るすべての現象を説明できる理論ではない。

 

 

つまり、将来、標準理論をこえる、素粒子物理学の新しい理論が確立されていく過程で、10の554億乗年に1度程度という、"真の真空"が宇宙 を飲みこんでまう確率の見積もり は、大きく変動する可性が高いともいえます。

 

 

f:id:a1t2s2u2:20200315174134p:image

 

 

宇宙は, 真空という"土台"の上に乗ったさまざまな粒子によってなりたっています。

 

では、真空崩壊によって土台である空の性質が劇的に変わったら, 宇宙の姿はいったいどうなってしまうのでしょうか?

 

これまで考えてきた真空崩壊が発生すると、少なくともヒッグス粒子のもと(ヒッグス場)の値が、 現在の約10倍になると考えられています。

 

大雑把に考えて、素粒子の質量はヒッグス場の値に比例しているといっても差し支えありません。 質量とは「物体の動かしにくさ」のことです。

 

つまり、真空崩壊が生じた場合、この世界に存在する質量をもつあらゆる素粒子は, とてつもなく "重く "なり、それまでと同じよう動くことができなくなってしまうのです 。

 

 

私たちの体をはじめ、あらゆる物質 は基本的に無数の「原子」が組み合わさってできています。

 

原子は, 陽子や中性子からなる原子核と、 その周囲をおおう電子でできています。

 

さらに陽子や中性子はそれぞれ, 三つの「 クォー ク 」という素粒子が、「強い力」によって結びつけられることで その形を保っています。

 

ヒッグス場の値が極端に大きくなった世界では、原子核をおおう電子の質量が増加するため、電子が現在と同じように原子核の周に分布するとは考えにくいです。

 

また、 ヒッグス場の値が極端に増加した場合、強い力の影響が弱くなると考えられます。 その結果, 原子核自体が形を保てなくなるのではないでしょうか?

 

原子核がなければ、そもそも原子は形をなしません。

 

 

f:id:a1t2s2u2:20200315174207j:image

 

 

真空崩壊によって、原子レベルであらゆる構造がばらばらになってしまうかもしれないのです。 真空崩壊後の世界では、各素粒子の間にはたらく力が現在の世界とはまったくちがうものになるでしょう。

 

もう少し正確に真空崩壊後の世界の素粒子の質量を把握することができれば、それぞれの間にはたらく力の大きさも計算できるかもし れません。

 

 

記事を読んでいただきありがとうございます。

今回はかなり専門的な内容でしたが、真空崩壊について考えるいい機会になったと思います。

この記事でご紹介した他にも宇宙で既に真空崩壊は起きているという考えや極上のブラックホールが真空崩壊の種になるという考え方があるので興味のある方は是非調べてみてください。

 

 

おすすめ記事

 

時空のゆがみとは

超ひも理論とは この世界は11次元である

フェルミのパラドックとは なぜ宇宙人と会えない?