【ビレンキン仮説】 宇宙は無から始まったのか。 虚数時間 わかりやすく解説
人類がこれからも悩み続けるであろう、宇宙の始まりについて。
有力な説であるビレンキン仮説などをわかりやすくご紹介します!
あまり難しく捉えずに、説を楽しみましょう。
無とは何か
質問ですが、『無』とはなんでしょう?
なにも無い空間…
はたして本当にそんなものが存在するのだろうか。
宇宙を思い浮かべた方もいると思います。
ですが、宇宙空間には惑星や通常の水素などの原子も存在しており、太陽が輝き続けられる材料です。
その他にも暗黒物質(ダークマター)が存在すると考えられています。
暗黒物質とは、天文学的現象を説明するために考えだされた「質量は持つが、光学的に直接観測できない」とされる、仮説上の物質です。
"銀河系内に遍く存在する"、"物質とはほとんど相互作用しない"などといった想定がされており、間接的にその存在を示唆する観測事実は増えているものの、その正体は未だ不明である。
宇宙は無なのか
では、本題の宇宙が無なのかを考察していきましょう。
宇宙は『ビックバン』によって誕生したという説は宇宙誕生に関するさまざまな説の中でもっとも有力視されています。
しかし、このビックバン理論でも解決できない疑問があります。
それが『なぜ宇宙は生まれたのか』です。
ビレンキン仮説
なぜ宇宙は生まれたのか…
" 宇宙は神様が作ったんだ! "
" 始まりなんてわかるはずがない! "
しかし、そんな疑問に立ち向かった方がいました。ウクライナ生まれの物理学者のビレンキンです。これからビレンキンが唱えた仮説をご紹介します。
※ 物理学者:アレキサンダー・ビレンキンさん
ビックバン理論は、一般相対性理論とハップルによる(宇宙は膨張している)という観測事実、宇宙背景放射の観測事実などをもとに裏付けられた理論です。
ハッブルの法則についてはこちら ↓↓↓
しかし、ビックバン理論は宇宙の謎を全て解明したわけではありません。
ビックバン理論では宇宙は火の玉から始まったとしていますが、この火の玉がどこから生まれたのかについては説明できていないのです。
1983年、ビレンキンさんが
という『ビレンキン仮説』を発表したのです。
そして同じ頃、車椅子の物理学者として有名なスティーヴン・ホーキング氏らが『無から宇宙が生まれた際、宇宙は虚数の時間を通ってきた』という『無境界仮説』を発表しました。
もう少し詳しく!
彼らは時空の果ては特異点ではなく、なめらかな時空でなければならないと考えました。そのために宇宙の状態を表す波動関数において、その境界条件自体が存在しないことが宇宙の始まりに必要であるという内容ですね。
真空からは常に仮想粒子と反仮想粒子がペアで生成消滅している。
しかしそれら粒子を我々は直接観測することはできない。
この2つの理論はどちらも「宇宙は全くの無から生まれた」ということを示しています。
** 無から生まれること
では、無から有が生まれたという仮説ですが、そんなことがあり得るのでしょうか?
ホーキング氏が唱える『虚数の時間』とはなんなのでしょうか?
虚数とは
虚数とは、実数ではない複素数のことである。ただし、しばしば「虚数」と訳される英語の "imaginary number" は、「2乗した値がゼロを超えない実数になる複素数」として定義される場合がある。iまたはjで表される虚数単位は代表的な虚数の例である。 1572年にラファエル・ボンベリは虚数を定義した。
高校数学で勉強をしますよね。
ふつう、数は2乗しても正の値もしくは0にしかなりませんよね。
しかし、虚数は2乗するとマイナス1になるといった常識破りの概念です。
量子論での『無』
『無』について考えるとき、全く何もない状態を想像しがちですが、量子論の世界では『無』という概念はありません。
物理的に全く何も存在しない状態はありえないとされています。
訳がわからないかもしれません…
例えば真空中には何もないと思われがちですが、実は電子と陽電子が一瞬で打ち消しあってるから何もないように見えるだけなのです。
量子論では無という空間でも、同じようなことが起こっていると考えられています。
ビレンキンさんは自身の説を量子論の無の概念に加え、
『トンネル効果』というもので説明しています。
トンネル効果とは簡単に説明すると、ミクロの世界ではエネルギーが揺らいでいるため本来のエネルギーでは不可能なことが起こるというものです。
不可能なこととは、
例えば、" 壁に向かって投げたボールが壁をすり抜ける "といったことです。
もちろん実際にボールが壁をすり抜けることなんてありませんが、素粒子レベルの世界では、こういった現象が起こると考えられています。
マクロの世界での常識が通用しません
ビレンキンさんは宇宙もこのトンネル効果により、無の状態から生まれたものだと説明したのです。私たちの常識に当てはめることができませんね。
宇宙は虚数時間において生まれた
一方ホーキング氏は、宇宙は虚数時間において生まれたと主張しています。
この虚数の時間は、もともとはトンネル効果が起こる確率を計算するために用いられていたものです。ホーキング氏はこれを宇宙の始まりにも当てはめてみました。
ホーキング氏は実際に虚数の時間は存在するという考えです。
そして虚数の時間の無のゆらぎの中から宇宙の種のようなものが生まれ、トンネル効果によって実数の時間になったとき宇宙はある程度の大きさとして誕生したとしています。
無から始まった根拠は?
ホーキング氏もビレンキン氏も宇宙は無から始まったとしていますが、無であったという根拠はあるのでしょうか?
これはそう考えないと辻褄が合わないからということなのだそう。
ビックバン理論に関しては観測による根拠を積み上げることができましたが、ビックバン以前のことについて今のところ観測による根拠を得ることはできないため、ビレンキン氏の説もホーキング氏の説も推測の域からは出ません。
記事を読んでいただきありがとうございます。
今回は複雑で理解しにくい内容でしたが、宇宙の始まりについて考える良い機会になったと思います。無から始まったという主張は僕にとっては納得のできないものです。正直、「本質的にはわからない」というように聞こえてしまいます。虚数時間は偽りの時間なのでしょうか…?
また、量子論(量子力学)はとても理解が難しいですが、面白い学問なので是非調べてみてください。これまでとは全く違って世界を見ることになりますよ。
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