地球の質量を角砂糖にする? 謎の天体「ブラックホール」をわかりやすく解説!
謎の多い天体「ブラックホール」をとは一体何なのでしょうか?
ブラックホールは2019年4月に初めて撮影が成功しましたよね。遠い場所にあり
光をも抜け出すことのできないため直接観測することは難しいとされています。
地球の質量を角砂糖にした密度
ブラックホールは秒速約30万kmの光さえも逃さない強い重力を持っています。どんなものでも吸い込み、重力が大きいことで有名です。
重力が大きいということは、質量がものすごく大きいということになります。
角砂糖1個ほどの大きさで60垓トンというブラックホールもあるそうです。
60垓トン = 6000000000000000000000t
そして、60垓トンは地球1個分の質量と同じです。
つまり、ブラックホールは角砂糖1個分に地球の質量があるものなのです!
ブラックホールはそれほどまでに高密度です。
なぜブラックホールの質量は大きいのか
なぜこれほどまでにブラックホールの質量は大きいのでしょうか?
その理由はブラックホールができる過程にあります。
ブラックホールは質量の大きな恒星が超新星爆発した後にできます。
超新星爆発を簡単にご説明します。
質量の大きな星は、死ぬときに超新星爆発を起こします。そして重力の働きで収縮を始めます。このとき質量の大きな星は自身の重力に耐えきれずこの収縮に歯止めがきかず、どこまでもつぶれてしまうのです。
質量はそのままで大きさは小さくなるのでその分密度が高くなり、重力も増します。そして重くて重力の大きな天体、ブラックホールができあがるのです。
超新星爆発が発生すると、ガンマ線と呼ばれる放射線が凄まじい勢いで放出されます。
爆発を起こした恒星から5光年離れた範囲では、すべての生命体が絶滅するとまでいわれているのです。たとえ50光年離れていても、壊滅的な影響を受けるそう。
そして爆発の後には、質量が太陽と同じくらいなのに直径が20km程度の「中性子星」や、とてつもなく大きな重力で光すらも吸い込んでしまう「ブラックホール」など、超高密度・超高圧な天体が残ることがあります。
太陽はブラックホールにならない
太陽はブラックホールになりません
ブラックホールになるにはすくなくとも質量が太陽の30倍必要だといわれています。
質量が大きな星がブラックホールに変化するので、ブラックホールも重たい天体となったのです。
最近ではオリオン座に輝く赤色超巨星「ベテルギウス」は昨年2019年後半から暗くなり続けており、超新星爆発が間近に迫っているのではないかと話題になっています。
ペテルギウスがブラックホールになるのかもしれません!
恒星は質量が大きければ大きいほど中心部も高温高圧になるので、核融合が活発になるために燃料である水素の消費量も大きくなってしまい、より多くの水素を使う必要があるのです。
恒星の寿命は質量が大きいほど短いのです。
先ほどのペテルギウスの寿命は約1000万年です。
いつ超新星爆発を起こしてもおかしくないといわれています。
もしかしたらもうすでに超新星爆発を起こしているのかもしれません。
これは光の速度を考慮しています。地球からペテルギウスまでの距離は642.5光年離れています。
つまり光が地球まで到達するのに642.5年かかるのです。その分だけ確認するには誤差が生じるので、すでに超新星爆発が起きていてもおかしくないのです。
そう考えるととても怖いですよね。
ハッブルの法則
距離が離れているとはいえ信じ難いですよね。光の速さはありえないほど大きいのに、何年もかかってしまうのは理解できません。そこである法則についてご紹介します。
宇宙が膨張していて、「遠くの星ほど早く遠ざかる」というハッブルの法則があります。
これってまるで地球が中心かのようなお話に聞こえてきて、地動説と天動説的な間違いであると思う方も多くいるでしょう。
しかしながら、この理由は明確にかつ簡潔に理解することができます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください
ブラックホールはどうなる?
ブラックホールの将来について『蒸発』か『成長』のどちらかだと予測されていました。
有名な車椅子の物理学者ホーキング氏は、『ブラックホールは蒸発する』という説を支持していたそうです。
古い理論では「真空にはブラックホールは永久に存在する」と結論づけていました。
しかし量子力学の理論を用いると、真空は無ではなく、粒子などができたり消えたりを繰り返していると考えられます。
この粒子の動きによって、ブラックホールが徐々に蒸発すると考えられているのです。
ただし蒸発するには長い長い年月がかかるそう。
小さなブラックホールでも、すべてなくなるまでに10の67乗年ほどかかるといわれています。
(10000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000年)
ホーキング氏のブラックホールについての名言があるのでご紹介しておきます。
「ブラックホールに飛び込むと、あなたの質量エネルギーは宇宙に返っていく。バラバラの形で、あなたが何者だったかという情報を含んでいるが、簡単に認識できる状態ではない。百科事典を燃やすようなものだ。煙と灰を取っておけば、情報は失われない。だが、読むのは難しい」
量子力学
先ほど量子力学というワードが出てきましたが、こちらも非常に魅力的な学問であり、常識を超えていてとても面白い学問です。
そんな学問の魅力について少しだけご紹介します。
そもそも量子とは、「波」の性質と「粒」の性質をあわせもったものです。
通常の物質、原子などは粒であると考えられていますが、光の正体を考えたときに粒だけでは説明のつかない現象が観測されました。ここで物理学者たちは波の状態を考慮することにより、矛盾を解決しました。
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ブラックホールに吸い込まれると時間が止まる
アインシュタインの一般相対性理論によると、重力は時空間のゆがみであるとされています。画像のように質量が存在することにより引き起こされる時空間の歪みに物質が引き込まれます。この力を重力であると定義しているのです。
質量は大きければ大きいほど重力が大きくなりますが、太陽の質量は全太陽系の99.9%と非常に巨大であり、重力もそれだけ強いことがわかります。
詳細は以下の記事をご確認ください。
しかし地球や太陽など重力がそれほど大きくない星の周りには、それほど大きなゆがみはありません。私たちが普段時空のゆがみを感じないのはそのためです。
重力の大きな天体の時空の歪み
では重力の大きな場合はどうなるのでしょうか?
この場合大きく時空がゆがみ、その結果時間の進み方が変わります。
ブラックホールともなると時空の歪みがひどすぎて、外から見ると時間が止まっているように見えるとされています。
例えば、「宇宙飛行士が宇宙船に乗ってブラックホールに突っ込んでいく」としましょう。これを遠くから見ていると、徐々に宇宙飛行士の動きが遅くなります。
そしてブラックホールの表面近くまで進もうとするともうほとんど動かなくなり、そこから先には進んでいきません。
しかしこれはあくまでも外から観察している人の見え方です。
宇宙飛行士にとっては時間はいつも通りに経過しており、周りの世界の時間が早く進んでいるように見えるのだそう。この相対的な差は光速が一定であることから導くことができます。
なぜ時間の進み方が歪むのかを知ってさえいれば、三平方の定理のみで時間の歪みを表す式を導くことができますので、ぜひ興味のある方はチャレンジしてみてください。
記事を読んでいただきありがとうございました。
最後の部分はアインシュタインの相対性理論を知っていれば理解できる内容となっています。詳しくはアインシュタインについての記事がありますのでそちらをご確認ください。
本当に謎の天体ですね。もしかしたら、未知の物質や宇宙人が発見されるかもしれません。今回の記事の中で重力という単語を多用していますが、重力の正体とは何だと思いますか?こちらは記事があるので是非読んでみてください!
おすすめ記事を出しすぎた気がしますが、本当にどれも面白い内容です!
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