史上初!石油の値段がマイナスになった理由
皆さんは驚きの原油に関するニュースをご存知ですか?
4月20日のNY原油先物市場では、受け渡し期間が最も短い期近物である5月限が、マイナス価格を形成している。取引時間中の安値は1バレル=マイナス40.32ドルであり、終値でもマイナス37.63ドルとなっている。原油先物市場の歴史上、マイナス価格の実現は初めてのことである。
なぜマイナスに?
原油史上初のマイナスはなぜ起こったのでしょうか?
2020年4月21日に原油の値段が-37.63ドルというマイナスの値段になってしまいました。
原油の取引はバレル(樽:たる)という単位で取引をします。
1バレルというのは原油の単位で、1樽は約159リットルのことを指します。
マイナスということは、原油を買ったらお金がもらえるの!?
と思う人が多いと思いますが、話は少し複雑でそう単純なものではありません。
これから簡単に解説していきます。
原油を保管するには専門の設備が必要で、国家プロジェクトとして備蓄基地をつくのが一般的です。要するに原油の保管には大がかりな設備が必要なのです。
さらに原油をそのまま使うことはできません。ガソリンや石油にするために生成する必要があります。
アラブ諸国とアメリカの関係
原油は元々中東の生産国が大量に生産していました。オイルマネーでアラブは石油でお金持ちみたいなイメージを持っている方は多いと思います。
ところが、アメリカのシェルー層という地中深くにある層からオイルを取り出すことに成功したこともあり、アメリカが2018年には世界最大の産油国になっていました。
アラブ諸国が今までほぼ独占的に石油を売ってお金儲けができていたのに、突然アメリカという競合が出てきたのです。アラブの人たちからすれば、アメリカはとても邪魔な存在になりました。
というのも、それまではアラブ諸国が石油の生産量を調整して高い価格を維持してきましたが、突然アメリカが安い価格で売り始めたのです。これではアラブの人たちはお金儲けができないため、シェアをとるために生産量を増やすことになりました。
その結果、原油の価格は下落傾向にありました。
コロナウイルスの影響
そんな中、コロナウイルスの影響で世界の人々はが外出しなくなり、飛行機は飛ばない、自動車は走らない、というふうに石油を必要とする人々が一気に減ってしまいました。
かといって、原油の生産を止めることはできないのです。
さらに、原油の取引には毎月期限があり、買っている人は現物を引き取るしかない形式です。つまり、毎月注文があって、期限超えたらキャンセルができない商品なのです。
そしてその注文期限こそが、4月21日でした。
原油を取り扱って毎月注文している人たちは、コロナの影響で需要がなくなっているため、原油が届いたとしても売れる見込みがありません。安い保管倉庫はうまっており、その原油を保管するためには高い保管倉庫にするしかありませんでした。
皆は大損してしまうと思い、原油を押しつけあった結果、史上初のマイナスという信じられない価格になったのです。
つまり、マイナスの価格とはいっても保管するのにそれ以上のマイナスが出る可能性が高いというわけです。
簡単なまとめ
記事を読んでいただきありがとうございます。
まさかマイナスの価格になってしまうなんて本当に驚きですよね。原油を保管するためには膨大な設備費が必要ですが、マイナスの価格であなたは原油を買いますか?
何も知らずにマイナスという価格だけで購入すれば痛い目に合うでしょう。
無知って怖いですよね。
おすすめ記事
内容に間違いがあったり、誤字脱字を見つけは場合はコメントかTwitter:@riaimu1222で教えてください 。お問い合わせフォームからでも可能です。