量子コンピュータとは 量子力学を活用 わかりやすく解説! スーパーコンピュータとの違いって?
『量子コンピュータ』を知っていますか?
量子コンピュータとは量子力学的な原理を応用して作られたものです。物理学に詳しい方は量子力学を知っているのかもしれませんが、実際のところよくわからないですよね。
量子力学はかなり理解が難しいのでこの記事では簡単に量子コンピュータをご説明します。
一般のコンピュータ
普段使っている一般的なコンピュータにはOSとよばれるソフトウェアを動かす基本ソフトが搭載されています。OSはコンピュータの入出力や同時並行処理などを管理するプログラムで、例えば、
・Mac
・iOS
などがあります。
そして一般的なコンピュータは数字を2進数で示し、基本単位はビットとなります。2進数のメリットは数字を0、1の電気信号で表すことができる点です。ただしビットでは、2つ以上の様相を同時に表すことはできません。
量子コンピュータの特徴
一方、量子コンピュータは量子力学の「重ね合わせ」という性質を使っており、2つ以上の状態を同時に表すことができます。
この重ね合わせについては『量子もつれの状態とは 量子力学』をご覧ください。
量子コンピュータの情報単位は量子ビットといい、重ね合わせの状態のため実際に観測するまでは、0でも1でも2でもあるということになります。
このような量子力学の性質を使うことで、計算処理速度はかなり速くなるといいます。
どのくらい計算速度が速くなるかというと、普通のコンピュータの数十万倍の計算処理速度を誇るスーパーコンピュータがありますが、量子コンピュータは世界最速のスーパーコンピュータで1万年かかる計算をたったの200秒で終わらせたそうです。
ですが、これに関してはスーパーコンピュータの能力の過小評価であり、スーパーコンピュータでもせいぜい2、3日程度の問題だったといった指摘もあります。この指摘があったとしても2、3日かかる処理を200秒で終わらせたのですから、とんでもない処理速度なのです。
スーパーコンピュータとの違い
計算速度
スーパーコンピュータは一般的なコンピュータと同じく2進数が使われていますが、量子コンピュータは量子力学の性質が使われています。これによって量子コンピュータとスーパーコンピュータは計算処理速度に大きな差があります。
コスト
スーパーコンピュータは、稼働させるのにかなりのコストがかかります。スーパーコンピュータを動かすことによって、多くの電力を消費します。コンピュータ自体を稼働させる電気代だけではなく、部屋のエアコン代がものすごくかかります。
なぜエアコン代がかかるの?と疑問に思った方もいると思います。
一般的なパソコンは付属の空冷ファンなどで温度を下げていますが、スーパーコンピュータの場合は設置している空間全体を低温にしなければならないのです。
ちなみに日本のスーパーコンピュータ「京」の消費電力はなんと一般的な家庭の3万世帯分にもなるというのです。
参考元:こちら
一方、スーパーコンピュータよりもかなり性能が高いのですが、消費電力はかなり抑えられそうです。なのでスーパーコンピュータと比べるとかなり環境にいいですよね。
量子コンピュータの可能性
量子コンピュータの処理速度がとてつもなく速いことはわかりましたね。では、量子コンピュータで何ができるのでしょうか?計算が速くてもよくわからないと思います。
先程の『量子もつれの状態とは 量子力学』でもご紹介していますが、量子コンピュータを使った暗号解読です。これまでのセキュリティでは簡単に破られてしまいます。
ですが反対に重ね合わせの状態では他のペアは存在しないので、量子コンピュータを使ったセキュリティの向上も考えられます。そして量子コンピュータでも解けない量子暗号というものが開発されています。
さらに、これまで膨大な時間がかかっていた新素材や新薬の開発、金融の最適化などを短時間で行えるようになるかもしれません。この他にも使い道はたくさんあります。世界を変えてしまう可能性を秘めたコンピュータなのです。
量子コンピュータが実用化された世界
どのような世界になるのか想像できますか?
量子コンピュータの処理速度を駆使することで、AIのさらなる進化が考えられます。AIの仕組みについて知っている方はわかると思いますが、AIは膨大なデータを処理する必要があります。AIは日々進化を遂げていますが、量子コンピュータを使うと膨大なデータを短時間で処理できるため、進化の速度がさらに早まる可能性があります。
膨大なデータを処理することが可能なので、交通面でもかなり役立つと考えられます。
皆さんはどのような世界を思い浮かべましたか?
是非コメント欄で教えてください。
量子コンピュータはいつ実現するのか
量子コンピュータについては大体理解できましたか?いつ実現するのかが気になると思います。2019年10月にグーグルが量子コンピュータによって計算処理速度を大幅に高速化させたことが話題となりました。
詳しく知りたい方はこちら
ご紹介した1万年かかるものを200秒で処理したのもこの量子コンピュータです。量子コンピュータには量子ゲート方式と量子アニーリング方式という2つの種類があり、Googleが発表したものは量子ゲート方式を用いたものです。
現在のところ量子ゲート方式は安定的な運営は難しく、実用化までは10年以上かかる見通しです。
一方、量子アニーリング方式は東京工業大学の西森秀稔と門脇正史氏が理論を考察したものです。組み合わせ最適化問題に特化しており、ビジネスの場面で役立つと期待されています。このタイプの量子コンピュータは、2011年にカナダのベンチャー企業が商用化に成功しています。
記事を読んでいただきありがとうございます。
量子コンピュータが実現した世界は本当に想像できないものが存在しているのかもしれません。とても楽しみですよね。ですが、もしも開発されたのならセキュリティの強化を何よりも先にしなければなりません。とても怖い面もあるのでご注意を。
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